在留資格「定住者」とは?

在留資格には大きく分けて活動系と身分系の2種類があります。身分系在留資格には「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つがあり、この中で在留者数がもっとも多いのは「永住者」、次に多いのが「定住者」となっています。「定住者」とはどのような人たちなのか、名称だけでは分かり難い在留資格ですので、今回はこの「定住者」について理解を深めておきたいと思います。

「告示定住」と「告示外定住」

「定住者」とは、正式には「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」に与えられる在留資格です。「特別な理由」については、法務省の「告示」で定められているものもありますが、「告示外」で許可される場合もあります。他に適当な在留資格がない場合でも、個々の特別な理由を考慮して在留許可を与えるための在留資格であるという点では、活動系在留資格の中での「特定活動」と同様の位置付けになります。

「定住者」の方が多い国籍とその理由

出入国在留管理庁の統計によると、令和7年(2025年)末時点での「定住者」の数は約23万人。中長期在留外国人全体に占める割合は5.5%(前年比1.4%の増加)でした。国籍別での上位3か国は以下の通りで、この3か国の合計で「定住者」全体の73%を占めています。

在留資格「定住者」での在留者数(2025年12月末時点)<上位3か国>
順位国籍総数(人)
1ブラジル68,882
2フィリピン63,937
3中国32,047

許可理由別の内訳は国によって特徴がありますが、その内訳を見る前に、先ずは主な許可理由となる「定住者告示」の内容を確認しておきましょう。告示で定められている「定住者」の”地位”としては、ざっくりいうと、難民(1号)、日系人(3号、4号)、中国残留邦人関連(8号)、他の身分系在留資格には当てはまらないものの家族として日本に滞在するための身分を与えることが相当な配偶者(5号)・未成年で未婚の実子(6号)・6歳未満の養子(7号)ということになります。

「定住者告示」は1~8号まであり、それぞれの内容を簡単にまとめると以下の通りです。(2号は現在削除されています)

定住者告示
号 内容
1号第3国定住難民であり、国連難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要を認めている難民のうち一定の条件を満たすもの(例:タイ国内に滞在するミャンマーからの難民など)
2号(削除)
3号日系2世
4号日系3世
5号イ)日本人の子として生まれて「日本人の配偶者等」の在留資格をもって滞在する者の配偶者
ロ)一年以上の在留期間をもつ「定住者」(日系2世・3世以外)の配偶者
ハ)一年以上の在留期間をもつ「定住者」(日系2世・3世)の配偶者
6号イ)日本人(後から帰化した方)、「永住者」、「特別永住者」の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子
ロ)一年以上の在留期間をもつ「定住者」(”日系2世・3世、またはその配偶者”以外)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子
ハ)一年以上の在留期間をもつ「定住者」(日系2世・3世、またはその配偶者)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子
二)日本人、「永住者」、「特別永住者」または、一年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者で、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活する者の未成年で未婚の実子
7号日本人、「永住者」、「特別永住者」または、一年以上の在留期間を指定されている「定住者」の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
8号中国残留邦人およびその親族
もっとも多いのは日系人の方

以下のグラフは先程の上位3か国について、「定住者」の在留目的別の人数を積み上げたものです。国により状況が大きく異なっていることが読み取れます。ブラジルは<日系3世>に該当する方がもっとも多く51%を占めていますが、フィリピンでは<その他>(46%)、中国では<未成年未婚の実子>(46%)がもっとも多くなっています。

「告示外定住」にはどのようなケースが含まれるのか?

グラフ中の<その他>は、定住者告示の1号、7号、8号または「告示外」の目的によるものの合計ということになります。「告示外」の主な例としては、日本人や永住者と離婚・死別した後に「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」からの在留資格変更が認められた方のほか、婚姻関係はなくても日本人の実子を扶養するシングルマザーなど、人道的理由によるものが含まれていると考えられます。

なお、上のグラフの中では1号(難民)、7号(6歳未満の養子)の人数は極めて少ないと思われますが、中国の<その他>の中には8号(中国残留邦人およびその親族)に該当する方も含まれます。

「定住者」からの変更が必要なケース

また、<未成年で未婚の実子>の数は3か国で共通して比較的多くなっていることがわかりますが、在留資格の更新ができるのは未成年の間だけです。この方たちが成人後も引き続き日本に在留するためには、他の在留資格に変更しなければならないということです。「定住者」として5年以上在留していれば、その前に永住許可申請を行うことも可能ですが、永住許可を受ける前に成人に達してしまう場合は、学生として「留学」の在留資格に変更するか、就職して何らかの就労資格を得るなどの対応が必要となります。

日系4世の方は「定住者」になれないのか?

「定住者告示」で定められているのは日系3世までの方ですが、次の世代である日系4世の場合は特別な在留資格はないのでしょうか?

実は日系4世の方については、「定住者」ではなく「特定活動(告示43号)」により、入国・在留することが可能となっています。日系4世受入サポーターを確保すること、入国時の年齢が18歳以上35歳以下であること、犯罪歴がないことなど、いくつかの要件を満たす必要がありますが、在留資格「特定活動(告示43号)」が許可されれば、以下の活動を行いながら最大5年間日本に滞在することができます。さらに入国後5年目に日本語能力など一定の基準を満たし、「定住者」への在留資格変更許可が認められれば、その後は「定住者」として引き続き日本に在留することも可能です。

「特定活動(告示43号)」で認められる活動
  • 日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解を目的とする活動(日本語を習得する活動を含む。)
  • ①の活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動

既存の在留資格ではカバーしきれない活動を行うための在留資格や、特別な事情を考慮して在留資格を付与するために、「特定活動」や「定住者」という特殊な在留資格が設けられているということがわかりました。「特定活動」や「定住者」は時代の流れに対応するための新しい動きがあるところですので、これからも注目していきたいと思います。

参考:
【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】 | 出入国在留管理庁
在留資格「定住者」 | 出入国在留管理庁
日系四世の更なる受入制度 | 出入国在留管理庁
○出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号) | 出入国在留管理庁