「高度専門職」について知りたい方は必見

外国人の方を求めている職場は、人手不足分野に限ったことではありません。国内外から優秀な人材を集めることは多くの企業にとって、もはや必要不可欠となっています。国としても、学術研究や経済発展に寄与することが見込まれる高度な専門能力を持つ外国人材の受入れを促進するために、「高度専門職」という特別な在留資格を設けています。今回は、これについて見ていきましょう。

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01 「高度専門職」は稀少な存在

「高度専門職」は、具体的な在留資格としては、「高度専門職1号」のイ、ロ、ハと「高度専門職2号」の4つに分かれています。その数は年々増加しており、2025年末の時点では合計で既に3万人を超えていますが、在留外国人の中に占める割合は合計でも1%に満たない稀少な存在といえます。

「高度専門職」在留者数 <令和7年(2025年)末時点>
在留資格在留者数(人)構成比(%)※前年比(%)
高度専門職1号イ2,8420.112.4
高度専門職1号ロ23,1080.69.5
高度専門職1号ハ4,9710.148.9
高度専門職2号2,0320.016.2
高度専門職 合計32,9530.814.8
※構成比は、中長期在留者および特別永住者の合計に占める割合

02 「高度専門職」で働くのはどんな人?

「高度専門職」は、学歴、職歴、年収などの項目でポイントを付ける「高度専門職ポイント制」において、合計70ポイント以上であることが要件となっています。イ、ロ、ハは、それぞれ日本での活動内容が異なるため、求められる能力が異なり、それぞれ専用のポイント計算表が用意されています。

申請すべき在留資格がイ、ロ、ハのどれに該当するかは、「もし、高度専門職でないとしたら」どの在留資格の活動に該当するかで判断します。

在留資格活動内容が対応する主な在留資格
高度専門職1号イ「研究」、「教授」、「教育」
高度専門職1号ロ「技術・人文知識・国際業務」
高度専門職1号ハ「経営・管理」

「高度専門職1号ロ」には、そのほかに「企業内転勤」、「法律・会計」、「医療」なども該当します。

「高度専門職2号」は、入国時点で許可されることはなく、「高度専門職1号」(イ、ロ、ハのいずれか)で3年以上日本に在留し活動していることが、「2号」への在留資格変更条件となっています。そして「2号」に変更した後は、「1号」での活動のほかに、ほぼ全ての就労資格の活動を行うことが認められ、幅広い分野で活躍することが可能となります。

03 「高度専門職」を取得するメリット

高度専門職ポイントで高得点を持つ優秀な外国人の方にとって、日本で働くことのメリットを増やすため、以下のような優遇措置が設けられています。

「高度専門職1号」の優遇措置

通常であれば「資格外活動許可」が必要な活動が一部許容されています。ただし、何でもできる訳ではなく、本来の活動を行いながら、それ以外に本来の活動と関連した事業を経営することができる、というのが複合的な在留活動の主なものになります。例えば、「高度専門職1号イ」の方であれば、大学や研究機関で研究活動を行いながら、研究と関連するベンチャー企業の経営を行うことが可能です。

通常は長期の雇用契約やこれまで在留実績がないと、在留期間「5年」はなかなか許可されませんが、「高度専門職1号」では現在の契約期間にかかわらず、初めから一律で「5年」が付与されます。

原則として引き続き10年以上日本に在留していることが永住許可の要件ですが、高度専門職ポイントが70点以上なら3年、80点以上なら1年の在留期間で、永住許可申請が可能となります。

通常、外国人の方がフルタイムで働くためにはその活動に応じた在留資格が必要ですが、「高度専門職」の方の配偶者については、例えば「技術・人文知識・国際業務」などで必要とされる学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも、「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事に就くことができます。ただし、勤務先・業務内容が決定した上で、在留資格を「特定活動(高度専門職外国人の就労する配偶者)」に変更する必要はあります。

家族の帯同が認められている在留資格でも、通常は配偶者と子供以外認められませんが、「高度専門職」の方については、本人や配偶者の妊娠中に介助や家事サポートをしてもらうため、または7歳未満の子供の面倒を見てもらうために、本人または配偶者の親を呼び寄せることが可能となります。世帯年収など一定の要件があり、一時的な帯同ではありますが、こういった理由で親(子供にとってはおじいちゃん・おばあちゃん)を日本に呼んで一緒に暮らすことは「永住者」でもできませんので、永住許可申請の前にこちらのメリットを享受したい向きもあるようです。なお、親に来日してもらう場合は、在留資格「特定活動(高度専門職外国人又はその配偶者の親)」の許可が必要です。

家事使用人の雇用は「経営・管理」、「法律・会計業務」等、一部の在留資格でしか認められていませんが、「高度専門職」の方については、年収など一定の条件を満たせば、 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用すること(入国帯同)が可能です。また、家庭の事情があれば入国帯同型以外の家事使用人を雇うことも可能です。家事使用人の方は、在留資格「特定活動(高度専門職外国人の家事使用人)」の許可が必要です。

在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更・在留期更新の際の審査が、高度外国人材に対しては、優先的に早期処理が行われとされています。しかしながら、これについては、入管の状況や個々の申請内容にもよりますので、期待するほど早く処理が行われるとは限りません。

「高度専門職2号」の優遇措置
  • a. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
  • b. 在留期間が「無期限」となる
  • c. 上記3から6までの優遇措置が受けられる

a. は上記1のメリット拡大、b. は上記2のメリット拡大と言えます。上記3から6は「1号」と変わりませんが、在留期間が「無期限」となることによって、在留期間更新許可申請の手続きが必要なくなるため、上記7はもはや不要ということです。ただし、在留期間が「無期限」になっても在留カードの有効期間はありますので、「在留カードの有効期間の更新申請」手続きは必要です。

04 高度専門職ポイント80点取得のパターン

高度専門職ポイントはどのような項目で何点加算できるのか、主な例を使って確認してみましょう。

「高度専門職」の方は高学歴のケースが多いので、先ずは3パターンの学歴で職歴、年収、年齢が同等のときどのようなポイント加算になるのか比較してみました。次にそれだけでは80点に満たない場合、「ボーナスポイント」の項目を使って、80点まで積み上げてみました。ここでは、もし要件を満たしている場合、比較的証明が簡単な項目を選んでいます。

ここでは「高度専門職1号ロ」(高度専門・技術分野)での計算を想定していますが、イ、ロ、ハで共通の項目も多くあります。

「高度専門職1号ロ」のポイント計算例

上の表はほんの一例であり、職歴は年数によって点数が異なりますし、年収は金額(と年齢)から点数が決まります。年齢については、39歳までポイント加算が可能です。(「ハ」の場合は年齢による加算なし)また、「ロ」と「ハ」の場合は、年収が300万円以上であることが必要です。

ポイントが加算できる項目とその点数は個人別に異なり、様々なパターンがあります。ご自身の具体的な点数を確認したい方は、高度専門職ポイントを計算表を使って実際に計算してみましょう。

05 ポイント加算と疎明資料集めのヒント

ボーナスポイントが付く項目は、上記の例のほかにも様々あります。ただし、ポイント計算表の点数を必要以上に積み上げることはあまり意味がありません。高度専門職ポイントの審査結果としては、「70点未満」、「70点以上80点未満」、「80点以上」の3区分しかないため、入管の審査官の方も、80点以上であることが確認できれば、すべての合計が何点になっているかまでのチェックはしません。心配な項目がある場合、可能であれば予備のボーナスポイントを追加するのも良いですが、確実な疎明資料が提出できる項目だけで80点(あるいは70点)以上になっていれば、加算できると思われる項目すべてにチェックを入れて資料を集める必要はありません。

「高度専門職1号」の申請では、基本的にポイント計算にかかわる書類以外は通常の就労資格と同じですので、通常の書類以外に提出書類が増えることになります。また、「高度専門職2号」への変更は、ポイント計算にかかわる書類に加えて、永住許可申請にも近い多くの書類の提出が求められます。

当事務所では「高度専門職」についてのご相談や申請のサポートも承っております。「高度専門職1号・2号」への変更申請を検討していて、不安な点や不明な点などある場合は、どうぞお気軽にご連絡ください。

参考:
【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】 | 出入国在留管理庁
高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度 | 出入国在留管理庁
在留資格「高度専門職」(高度人材ポイント制) | 出入国在留管理庁