育成就労計画とは

 在留資格「育成就労」の外国人の方を新たに受け入れるときは様々な準備が必要ですが、中でも重要なのは「育成就労計画」の作成ではないでしょうか。書式や認定申請の方法については、これまでの「技能実習計画」と同様の部分も多いですが、大きく変わった点や追加項目もあります。「技能実習」との違いを踏まえ、「育成就労計画」について理解を深めておきましょう。

管理型育成就労では「監理支援機関」の指導にもとづいて受入れ機関が作成する

 「育成就労計画」の作成者はこれまでと同様、日本での職場となる受入れ機関ですが、育成就労制度では「育成就労実施者」と呼ばれます。外国人の受入方法も、「技能実習」と同様に監理型と単独型があり、これまでの「管理団体」のような機能は新たに「監理支援機関」として認定を受けた機関が担います。そして、管理型育成就労の場合、「育成就労計画」は「監理支援機関」の指導にもとづいて「育成就労実施者」が作成するものとされています。

「育成就労計画」の認定申請は就労開始予定日の6~4ヵ月前に行う

 受入れ機関は、「育成就労計画」を作成したら「外国人育成就労機構」の地方事務所に対して認定申請を行います。「外国人育成就労機構」による審査の結果、認定されれば「育成就労計画認定通知書」が交付されます。入管への在留資格認定証明書交付申請を行う際、この認定通知書の写しが必要となりますので、来日予定日から逆算して余裕をもって準備する必要があります。在留資格認定証明書交付申請の受付は、入国予定日の3ヵ月前からですが、「育成就労計画」の認定申請はその前に行う手続きですので、就労開始予定日の6ヵ月前から申請可能で、原則として4か月までに申請が必要とされています。

「育成就労計画」の中には、主な変更点として以下の項目があります。

  • 目標として記載すべき内容が変わった
  • 「育成就労実施者の変更を制限する期間」という項目ができた
  • 「送出機関に支払った費用」という項目ができた
育成就労の目標

 目標については、「技能実習」では、「技能検定」「技能実習評価試験」「その他」という3つの選択肢があり、その中に試験名や級を記入することになっていますが、「育成就労」では選択の余地なく「技能試験」と「日本語能力の試験」の2つの記入欄があり、それぞれにの欄に合格を目標とする試験名とその水準を記入する必要があります。

 目標とする試験とその水準については分野別運用方針で定められたものを記入することになっており、れぞれの水準は以下の通りです。

(次の➀~③のいずれか、分野別運用方針で定められたもの

  • ① 修得させる技能に係る3級の技能検定の合格
  • ② 修得させる技能に係る3級の技能検定に相当する育成就労評価試験の合格
  • ③ 修得させる技能に係る特定技能1号評価試験の合格
  • 原則として日本語教育参照枠のA2相当の水準(日本語能力試験「JLPT」で言えばN4相当

 A2相当の水準とは、限定的ではあるものの職場で顧客や上司との基本的なやりとりができるレベルで、英検でいうと2~準2級レベルの語学力ということになります。

「育成就労」では本人の希望のよる「転籍」が可能となることを確認

 「技能実習」では、原則として転籍(受入れ機関の変更)ができず、これが技能実習生の待遇面での(時には失踪にもつながる)問題となっていましたが、「育成就労」では1年(分野によっては最長2年)の制限期間はあるものの、その後は本人の希望により転籍も可能となります。そのため、「育成就労実施者の変更を制限する期間」という項目が計画書にも盛り込まれました。

悪質なブローカーの仲介案件でないことを確認

 さらに、「送出機関に支払った費用」という項目も新たに追加されました。これにより高額な費用を請求する悪質なブローカーをスクリーニングする効果が期待されます。

 ここには、来日する本人が本国の送出機関に支払った金額のほか、本人の親族等が今回の申請のために送出機関に支払った金銭がある場合は、その金額も含めて記載することが求められています。

 また、本人等が払った金額とは別に、受入れ機関が監理支援機関に支払う費用の内、送出管理費相当額を記入する欄も設けられています。ここには、既に支払い済の金額だけでなく、外国人本人が就労を継続しなくなっても支払い義務が継続する分割払いの金額があればそれも含めることとされています。

「育成就労計画」の認定基準

 「育成就労計画」の認定審査は、「外国人育成就労機構」によって行われますが、その認定基準は育成就労法およびその施行規則で定められています。その一部は上記の変更点に関するものですが、それ以外にも多岐にわたっています。ここでは、その詳細をすべてお伝えすることはできませんが、育成就労制度の「運用要領」の中では以下の15種類に分類されて詳細に説明されています。

  • 第1 従事させる業務が育成就労産業分野に属する技能であること
  • 第2 育成就労の目標に関するもの
  • 第3 育成就労の内容に関するもの
  • 第4 育成就労の期間に関するもの
  • 第5 技能及び日本語能力の評価に関するもの
  • 第6 育成就労を行わせる体制に関するもの
  • 第7 育成就労を行わせる事業所の設備に関するもの
  • 第8 単独型育成就労実施者の監査の体制に関するもの
  • 第9 監理支援機関による監理支援に関するもの
  • 第10 育成就労外国人の待遇に関するもの
  • 第11 育成就労外国人の人数枠に関するもの
  • 第12 優良な育成就労実施者に関するもの
  • 第13 外国の送出機関に関するもの
  • 第14 外国の送出機関に支払った費用の額に関するもの
  • 第15 労働者派遣等を活用する場合の認定基準

受入開始後は計画の実施状況報告が求められる

 「育成就労計画」は認定されれば完了という訳ではありません。外国人本人が無事来日して就労を開始したあとは、基準を外れることなくこの計画が実施されている必要があります。そのため、受入れ機関には、毎年1回(4月1日から5月31日までに)、外国人育成就労機構の地方事務所・支所に実施状況報告を提出することが義務付けられています。

 また、雇用契約や実際の就労に当たっては、育成就労法だけでなく、日本人と同様に各種労働法(労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法など)も当然のことながら適用されます

 実習生という名のもとに、低賃金単純労働の担い手という実態があったことも否めない「技能実習」から、日本で各分野の産業を支える人材を育成するための期間としての「育成就労」への変更。もし、上記のような労働法令がこれまであまり理解されていない職場があったとしたら、外国人の受入を機会に社内の意識も変わり、職場全体の労働環境が良くなるかもしれません。外国人にとっても日本人にとっても、働き易く、やりがいのある仕事ができる職場がこれからもっと増えていくことを期待したいと思います。

参考:
育成就労制度 | 出入国在留管理庁
運用要領 | 出入国在留管理庁