育成就労制度への移行に向けて

これまでの技能実習制度に代わり、令和9年(2027年)4月1日から育成就労法が施行され、育成就労制度がスタートします。実務レベルでの移行準備も一部始まっており、これから更に具体的に進んでいく段階に入ります。今回、先ずは移行の概要を現在の準備状況を交えて確認しておきたいと思います。

これまでの経緯 ─「人材の育成・確保」を目的とした新しい制度へ

技能実習制度は、1993年に「技術移転と国際貢献」を目的とした外国人研修生を受け入れるための制度として始まりました。

その後、2010年の入管法改定で在留資格「技能実習」が創設され、技能等を修得するために行なう雇用契約にもとづいた活動として、労働基準法や労働保護法が適用されるようになりました。

さらに、制度の運用に関する問題を解決すべく、2016年11月に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の制定」(技能実習法)が制定され、翌年2017年11月から施行されています。ここで、管理団体の許可制や実習計画の認定制などが導入され、現在に至ります。

しかしながら、制度開始から30年以上が経ち、当初の「技術移転と国際貢献」という目的は役割を終え、時代の要請である国内の人手不足解消のため、「人材の育成・確保」を目的とした新しい制度として再出発することになりました。

目的は特定産業分野の人材を確保すること

育成就労制度では、特定産業分野(在留資格「特定技能」の受入分野)に対応する形で、受入れ分野が設定されています。ただし、その中でも就労を通じて技能を修得させることが相当な分野のみであるため、一部の特定産業分野では育成就労での受入はありません。

育成就労制度では各分野が、日本での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能をもつ人材を育成するとともに、その分野における人材を確保することを目指して制度を運用します。そのため、「特定技能」と同様に分野別運用方針があり、分野ごとの受入見込み数(上限)を設定しています。

「特定技能」での受入は原則として技能試験と日本語能力試験に合格していることが要件となっていますので、「育成就労」で来日した外国人の方は、各分野で働きながら一から仕事と日本語を覚え、これらの試験に合格する水準を目指すことになります。

育成就労外国人については、個人別に「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構による認定を受ける必要があります。手続きとしてはこれまでの技能実習計画の認定と同様ですが、書式等は新しくなります。

育成就労計画の認定申請手続きに関する案内もまもなく公表される模様です。

育成就労計画認定施行日前申請 | 外国人技能実習機構

「監理支援機関」の許可基準は厳しくなる

技能実習制度では、外国人の受入方法として団体監理型と企業単独型がありましたが、育成就労でも同様です。監理型育成就労では、「監理支援機関」が外国人に受入機関での仕事を斡旋し、そこでの活動状況を管理・監督するという役割を担います。

ただし、技能実習制度の管理団体がそのまま「監理支援機関」に移行される訳ではなく、新たに「監理支援機関」の許可を受ける必要があります。許可基準は、これまでよりも厳しくなっており、例えば以下のような要件が追加されています。

  • 外部監査人の設置
  • 債務超過がないこと
  • 監理支援先受入機関(育成就労実施者)は2者以上
  • 監理支援事業に従事する常勤役職員の数は2名以上で、受入れ機関と密接な関係にある役職員がその受入れ機関に対する業務にかかわることはできません。かつ、監督・管理が行き届くよう常勤役職員1人当たりの監理支援先および育成就労外国人の数にも制限があります。(監理支援事業に従事する常勤役職員1人につき、監理支援先の数は8未満、監理支援対象となる育成就労外国人の数は40未満)

「監理支援機関」の許可申請の受付は既に始まっています。

監理支援機関許可施行日前申請 | 外国人技能実習機構

原則として二国間取り決めのある国からのみ受入れ

悪質なブローカーを排除するため、海外の送り出し機関についての規定も厳しくなっています。育成就労外国人の受入は、原則として二国間取り決めのある国からのみ行い、送り出し国政府から認定を受けた送り出し機関のみを通して行うものとされています。

二国間取決めの作成状況や送出機関リストの状況については、以下のサイトでアップデートされています。

外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度) | 外国人技能実習機構

「技能実習」で在留中、またはこれから来日する方どうなるのか?

現在、在留資格「技能実習」で在留している方や、育成就労法施行日前に認定された技能実習計画をもって、2027年6月30日までに来日し実習を開始した方については、経過措置として、技能実習2号の修了まで、「技能実習(1号、2号)」の在留資格で在留することが可能です。

また、育成就労法施行日時点で技能実習2号を1年以上行っている方については、技能実習3号に進むことが可能で、技能実習3号2年目の修了まで在留することができます。

技能実習を修了した方が在留資格を「特定技能1号」に変更する際、現在は技能試験と日本語能力試験が免除される制度がありますが、育成就労法施行後であっても当分の間はこれまでと変わらず、技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合、特定技能1号に移行することができるとされています。

「特定技能」へのキャリアアップとあわせて今後も注目

育成就労制度では、これまでよりも「特定技能」へのキャリアアップの道筋が明確になり、また、労働者としての権利保護の観点でも改善が行われています。日本で修得した技能を母国に持ち帰ることよりも、日本社会に定着して長く働ける人材となることが期待されているということです。その分、育成就労計画においても、「特定技能」への変更においても、技能検定試験や日本語能力試験に合格することが要件となり、各産業分野において必要とされる分野別上乗せ基準の設定もあります。

育成就労制度の詳細については、引き続き注目していきたいと思います。

参考:育成就労制度 | 出入国在留管理庁