「在留資格の取消し」最近の状況
「在留資格で認められた活動を3ヵ月以上行っていない場合、在留資格の取消し理由になる」というのは、活動系在留資格をもって日本に在留している方が覚えておかなくてはならない大事なルールの一つです。では実際のところ、そのような理由で在留資格が取消しになった人はどれくらいいるのでしょうか。また、取り消されるとどうなるのでしょうか。今回は、在留資格取消しの実態について、深掘りしてみたいと思います。
在留資格の取消し理由
在留資格の取消し理由は冒頭の例の他にも複数あります。先ずは、どんな場合が取消し理由に該当するのか確認しておきましょう。
「在留資格の取消し」については、入管法第22条の4で規定されています。その中で、取消しの理由となる事項は第1項1~10号に列挙されています。一つ一つの詳細(*)は省きますが、以下の3つに分類できます。
- 1~4号:偽りまたは不正手段によって許可を得ている場合
- 5~7号:在留資格にもとづく活動を行っていない場合
- 8~10号:住居地の届出を正しく行っていない場合
*詳細はこちら
在留資格取消し理由別トップ3
令和7(2025)年度の在留資格取消し件数は合計1,446件で、理由別トップ3は以下の通りでした。具体的な事例も併せてご紹介します。
【第1位】「6号の理由適用」999人(全体に占める割合:69%)
活動系在留資格の人が在留資格で認められた本来の活動を3ヵ月以上行っていないという理由で、在留資格取消しとなったケースです。
在留資格別の内訳では、「技能実習2号ロ」(633人)、「留学」(182人)、「技能実習1号ロ」(158人)が大半を占めています。
なお、「技能実習」の1号は「入国後1年目で技能等を修得する活動」、2号は「2、3年目で技能等に習熟するための活動」を行っている方になります。また、「技能実習」には(イ)と(ロ)の区分があり、(イ)は「企業単独型」、(ロ)は「団体監理型」です。ちなみに、「技能実習」全体の約98%は(ロ)の区分になっていますので、今後の育成就労制度で監理支援機関の許可基準が厳しくなっていることもうなづけます。
具体例
- 在留資格「技能実習」をもって在留する者が、実習先から失踪し、当該在留資格に応 じた活動を行うことなく3か月以上本邦に在留していた。
- 在留資格「留学」をもって在留する者が、学校を除籍された後、当該在留資格に応じ た活動を行うことなく3か月以上本邦に在留していた。
【第2位】「5号の理由適用」350人(全体に占める割合:24%)
活動系在留資格の人が在留資格で認められた本来の活動を行わず、かつ、他の活動を行っていた(または行おうとしていた)という理由で、在留資格取消しとなったケースです。
在留資格別の内訳では、「留学」(161人)、「技能実習2号ロ」(111人)、「技能実習1号ロ」(55人)が大半を占めています。
具体例
- 在留資格「留学」をもって在留する者が、学校を除籍された後、当該在留資格に応じ た活動を行うことなくアルバイトを行って在留していた。
- 在留資格「技能実習」をもって在留する者が、実習先から失踪し、当該在留資格に応 じた活動を行うことなく他の会社で稼働して在留していた。
【第3位】「2号の理由適用」48人(全体に占める割合:3%)
虚偽の申請(活動内容、経歴などの偽装)により在留資格の決定を受けているという理由で、在留資格取消しとなったケースです。
第1位、2位と比べると人数はぐっと少なくなりますが、在留資格別の内訳では、「技術・人文知識・国際業務」(19人)、「日本人の配偶者等」(14人)が目立ちます。
具体例
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」に係る在留期間更新許可申請に際し、職歴を 偽装した内容の在留期間更新許可申請書を提出して同許可を受けた。
- 在留資格「日本人の配偶者等」に係る在留期間更新許可申請に際し、日本人との婚姻 を偽装し、日本人配偶者との婚姻実態があるかのように装う内容虚偽の在留期間更新許 可申請書を提出して同許可を受けた。
なお令和7年度においては、8~10号(住居地の届出を正しく行っていないこと)が理由で在留資格を取り消されたケースはありませんでした。また、5号と6号の2つの理由で、取消し件数全体の93%を占めている一方で、偽りや不正手段であり悪質性が高いと判断される2号の理由によるものも第3位に入っていることは注意すべき点かと思います。
在留資格が取消されるとどうなる?
在留資格の取消しは、入国審査官または入国警備官による事実調査の後、本人への意見聴取を経て、法務大臣の判断によって行われます。具体的には法務大臣から本人宛に「在留資格取消通知」が送られますが、取消し理由により、出国までの流れが異なります。
悪質性の高い虚偽申請に該当する1号、2号の場合は「退去強制」(いわゆる強制送還)となり、それ以外は基本的には出国するための期間(最長30日)を指定され、その期間内に自主的に出国することとされています。(自主的な出国は、「出国命令」を受けた場合とは異なります)
ただし、5号の場合で逃亡の恐れがあるときには「退去強制」となる可能性もあります。また、指定期間内に自主的に出国しなかった場合は不法在留となりますので、この場合は「退去強制」になります。
そして「退去強制」になると、5年間(リピーターの場合は10年間)は日本に再入国することができなくなります。
以前から「技能実習」や「留学」の在留資格では、失踪者の発生が問題になっており、より厳格な審査が行われるようになってきています。今後、「技能実習」については育成就労制度への移行、「留学」については特に日本語学校等についての審査基準の厳格化を通して対策がとられていくものと思われます。受入れ機関や監理支援機関の皆さまには、さらなる管理体制の充実が求められています。
参考:
在留資格の取消し(入管法第22条の4) | 出入国在留管理庁
令和7年の「在留資格取消件数」について | 出入国在留管理庁
当事務所では、在留資格に関するご相談の他、永住許可申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、在留資格認定証明書交付申請等、出入国在留管理局への申請取次、提出書類作成のサポートを行っております。
お困りのことがございましたら、先ずはお気軽にご連絡ください。
初回30分の無料相談も行っております。

