在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請におけるこれからの留意点
直近の統計では、「技術・人文知識・国際業務」は就労系在留資格の中で在留者数第一位。伸び率、増加数共に拡大し、2025年6月末時点では過去最高の45.8万人になりました。今回は、この在留者数急拡大の背景も含め、申請時に留意したい点についてまとめておきます。
在留者数が急拡大している「技術・人文知識・国際業務」
就労系在留資格の中で在留者数トップ3は、「技術・人文知識・国際業務」、「技能実習」、「特定技能」ですが、これまでトップだった「技能実習」が、新制度(育成就労)への移行を控え減少に転じている一方で、「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」が急速に増加している状況です。

※2025年12月末のデータは現時点(2026年2月)では未発表のため6月末の数値を使用
この3つの在留資格の特徴を理解すると拡大/縮小の理由が見えてきます。
「技術・人文知識・国際業務」
- ITエンジニアや事務職、通訳、デザイナーなど、ホワイトカラーの職種を幅広くカバーする在留資格
- 現場業務ではなく、高い専門知識や外国文化に根差した思考や感受性を必要とする業務を担う人材
- 従事する業務に関連する科目を専攻し、大卒またはそれと同等以上の教育受けた学歴、または10年以上(国際業務の場合は3年以上)の実務経験が必要
なお、元々は「技術・人文知識」と「国際業務」という2つの在留資格だったものが統合されたため、長い名前になっていますので、略して通称「技人国」と呼ばれています。
「技能実習」
- 技能実習法に基づく制度の中で、働きながら技術を習得するための在留資格
- 農業、漁業、建設、食品製造、機械・金属関係など、多くの現場で人手不足を補う存在になっている
- 2027年4月から新制度「育成就労制度」へ移行し、段階的に廃止予定
「特定技能」
- 国内での人材確保が困難な状況にある特定産業分野での業務に従事するための在留資格(介護、建設、農業、工業など、現状16分野)
- 即戦力として、現場業務を担う人材。
- 産業分野に応じ、相当程度の知識・経験を要する技術と日本語能力が求められる。
「技術・人文知識・国際業務」として働く方が増えている背景としては、以下のような点が挙げられるでしょう。
- DXの進展に伴うIT人材の需要増加
- ビジネスのグローバル化
- 日本の大学等を卒業後日本で就職する留学生の増加
入管審査は厳しくなっている
しかしながら、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の急拡大の裏には、前述の理由だけでなく、偽装「技人国」の存在もあるとみられており、出入国在留管理庁でも警戒を強めています。
令和8年1月23日に政府が取りまとめた「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の中では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」についての現状の問題点について、以下のように記載されています。
近年、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留者数が増加しているところ、派遣による就労の具体的活動内容の実態が十分に把握できていないことや、認められた活動内容に該当しない業務に従事するなど、受け入れた外国人が資格該当性のない業務に従事する事案への対策が必要となっている。
このため、在留諸申請のうち、活動の実態に疑義がある案件については、入管職員が現地に赴いて実態調査を行うなどの慎重な審査も既に行っているとのことです。また、今後、速やかに実施する施策として、「資格該当性のない業務に従事させている疑いのある受入れ機関や派遣先における活動状況を調査し、審査の厳格な運用を行うとともに許可の在り方を検討する」という項目が挙げられています。
偽装「技人国」が増えている要因
なぜ、今、「技人国」の偽装が増えているのでしょうか。その背景には、以下のような状況があるようです。
①雇用者側の思惑
- 現場業務の人手不足解消のために、職務内容を偽ってでも早急に人材を確保したい
- 「特定技能」よりも、少ない書類で申請可能
②外国人本人にとっての「技人国」の魅力
- 家族と一緒に長く暮らせる
- 「特定技能(1号)」と比べ制度上の自由度が高い
| 特徴 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定技能(1号) |
|---|---|---|
| 家族の帯同 | 可能 | 原則不可 |
| 在留期限 | 更新に制限なし(永住へ繋がる) | 通算5年まで |
| 転職の自由 | 同職種なら比較的自由 | 制限が多い |
③証明書類の偽造しやすさ
「技人国」には日本語能力の要件がなく、本人の学歴や経歴を証明する書類としては、海外の大学の卒業証明書や海外での実務経験を証明する書類のみでも問題ありませんが、これらがブローカーなどの手によって巧妙に偽造されている可能性があります。
④悪質なブローカーの存在
日本で働きたい外国人から多額の紹介料を取って虚偽の雇用契約書を作成し、実際には現場作業に回すブローカーが存在すると言われています。実態のない会社を設立し、そこで雇用しているように見せかけたり、形式上はITコンサル会社などに所属させたりして、実際には人材派遣として現場作業に回すなどの手口があります。
申請における留意点
偽装を疑われると、入管での審査期間が長期化するだけでなく、不許可になる可能性もあります。「技術・人文知識・国際業務」の申請においては、以下の点が特に詳しく審査されます。
- 実際の業務内容は在留資格で認められたものであるか
- 学歴/職歴は疑いのないものか
- 企業の規模や財務状況から安定した雇用の継続が認められるか
申請者の急増に伴い審査が厳しくなっている昨今、スムーズに手続きを進めるためには、適切な在留資格の選択と申請書類の準備はますます慎重に行いたいものです。
参考:外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議
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