外国人を雇用するときの基礎知識
人手不足を背景に、現在、外国人材を活用することは日本の多くの企業にとって重要な選択肢となっています。今回は、これまで、あまり外国人を雇用することがなかった企業や事業主の皆さまにも役立つ情報として、外国人を雇用するときに知っておきたい基礎知識をまとめておきたいと思います。
採用できるのはどんな人?
外国人の方が日本で働くためには、”働くことができる「在留資格」”を持っていることが必要です。日本で暮らしている方であれば、既に何らかの在留資格を持っているはずです。在留資格は、その方がお持ちの「在留カード」で確認することができます。
在留資格は全部で29種類程ありますが、大きく分けると、「身分系」と「活動系」の2つに分けることができ、「身分系」の在留資格をお持ちの方であれば就労制限がありませんので、職種や雇用形態にかかわらず日本人と同じように採用することが可能です。身分系在留資格とは、具体的には「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4種類です。
一方、「活動系」の在留資格は、現在、25種類程あり、その中で、就労が認められていているいわゆる「就労資格」は職種や活動内容によって19種類に分類されています。主なものとしては、「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」が挙げられます。
ちなみに、出入国在留管理庁が公表しているデータによると在留資格上位5種類は以下の通りです。( )内の数値は、2025年6月末時点での在留外国人総数約395万人中に占める割合です。
- 永住者 93万人(24%)*就労可(制限なし)
- 技術・人文知識・国際業務 46万人(12%)*就労可
- 技能実習 45万人 (11%)*就労可
- 留学 44万人 (11%)<就労不可>
- 特定技能 34万人 (8%)*就労可
上記2,3,5の在留資格について簡単に補足しておきます。
- 技術・人文知識・国際業務
- 一定以上の技術や専門知識または外国文化のバックグラウンドが必要とされる業務。いわゆるホワイトカラーの職種の多くに該当します。
- 技能実習
- 技能実習法に基づく制度の中で、技術を習得するために日本の企業等で働く方。職種としては、農業、漁業、建設、食品製造、機械・金属関係など。 2027年4月から新制度「育成就労制度」へ移行し、段階的に廃止予定。
- 特定技能
- 国内での人材確保が困難な状況にある特定産業分野での業務。介護、建設、農業、工業など、現状16分野。即戦力として、相当程度の知識・経験を要する技術と日本語能力が求められる。
「永住者」など、身分系の在留資格を持っている方以外は、採用後に従事してもらう仕事・業務内容が、現在の在留資格で認められている活動に当てはまるかどうかを事前に確認することが非常に重要です。それぞれの在留資格でどのような活動が認められているのかについての詳細説明はここでは省略いたしますが、在留資格の変更が必要な場合は、変更完了後でなければ、新しい仕事を始めることはできません。留学生など、非就労資格で日本に滞在してる方を採用する場合は、必ず、適切な就労資格への「在留資格変更許可申請」の手続きが必要となります。(在学中のアルバイトであれば、「資格外活動許可」を受けていればその範囲内での就労は可能です)
現在、海外に住んでいる外国人の方を採用する場合
従業員として採用できる外国人は、現在、日本にいる方だけではありません。海外にいる方を日本に呼び寄せて雇用することも可能です。その場合は、海外での経歴を含め、一定の学歴や職務経験があることなどが条件となりますが、日本で従事してもらう業務に適した在留資格の認定審査を事前に受け、証明書が発行されてから来日してもらう必要があります。この事前手続きを「在留資格認定証明書交付申請」と言います。
外国人の方は、在留資格認定証明書が発行されたら、それを持って現地の日本大使館等で「査証(ビザ)」申請を行い、ビザ(パスポートに貼られます)が取得できたら、在留資格認定証明書と有効なパスポートを持って来日する運びとなります。
主な空港の入管カウンターでは、在留資格認定証明書とパスポートの確認と同時に、在留資格、在留期限などが記載された「在留カード」の交付も行っています。日本国内では、「在留カード」が身分証明書となりますが、入国時に交付される在留カードには住所が記載されていません。
日本に入国し、住所が決まったら14日以内に、在留カードとパスポートを持って住所を管轄する市区町村の役所で住民登録を行う必要があります。この手続きにより、在留カードの裏面に居住地の住所が書き込まれ、この情報は出入国在留管理庁にも共有される仕組みになっています。今後の役所などでの各種手続きや銀行口座の開設にも、この在留カードが不可欠ですので、入国後、住む場所が決まったら先ずは住民登録を完了して頂いてください。
海外に住んでいる外国人の方を採用するときの一般的な手続きの流れ
- 採用決定(内定)
- 業務内容と本人の経歴等から、この時点で申請する在留資格は決めておく
- 在留資格認定証明書交付申請
- 採用する企業等の方が所属機関等(契約先)として、管轄の出入国在留管理局への申請を行います
- 在留資格認定証明書(COE)が出入国在留管理局から交付
- 在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)は略してCOEと呼ばれます
- 通常は申請から1~2ヵ月程で交付されるケースが多いですが、在留資格の種類や個別の事情によっては、数か月以上掛かる場合もあります
- COEを外国人本人に送付
- 電子メールでの送付が可能です
- 外国人本人が現地の日本大使館/総領事館で、査証(ビザ)申請
- 申請には、COEの他、所定の申請書や添付書類が必要です
- 外務省のホームページでも確認できますが、申請方法や必要書類は申請場所によって異なる場合がありますので、現地でご本人に確認して頂くことをお勧めします
- 査証(ビザ)の申請から発給までは、COEがあれば通常5営業日とされています
- ご本人が来日
- COEと有効なパスポート/ビザを持って入国審査を受けます
- 在留カードを受け取ります
- 日本での住居を定める
- 住居を定めてから14日以内に住所地の市区町村の窓口で転入届(住民登録)を行うことが必要です
- 転入届(住民登録)を行うことで在留カードに住所が記載されます
- 日本での生活や勤務開始に必要な各種手続きを行う
補足:「ビザ(VISA)」と「在留資格」について
一般用語としては、よく「ビザ(VISA)」と「在留資格」は同じ意味で使われますが、日本で「就労ビザを持っている」という場合、厳密には”就労できる活動系の在留資格を持っている”という意味になります。
ビザは一度入国してしまうと(数次有効のもの以外は)使用済となりますので、入国後の在留資格は「在留カード」で確認することが必要です。
参考:在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁
統計 | 出入国在留管理庁
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